フード最前線
(熊本日日新聞で連載)
    継続できる農業めざす    (2007-11-25)
「これからの農業は経営の視点が必要」と語る澤浦彰治さん=有機栽培ホウレンソウのハウス内で

 群馬県利根郡昭和村にある株式会社野菜くらぶ(澤浦彰治代表)を久しぶりに訪ねた。今、もっとも注目されている農家の集まりである。会社は新幹線の上毛高原駅から車で二十分ほどの、こんにゃく畑に囲まれたところにある。この地域は戦後開拓で生まれたところだ。

 会社は一九九二(平成四)年の創業。若手の農家が出資して、農産物の生産および加工、販売を行っている。参加している生産者は五十三名。売り上げは全体で十七億円。一戸の農家の売り上げは規模にもよるが二千万円から一億円という。農家の全国平均の総所得(年金や農業外収入を含む)が五百八万円(〇五年)というから、農業だけの売り上げということでは、昭和村の農家は、はるかに上を行っている。平均年齢四十五歳。全員妻帯者で、前途は明るいのである。
 作物は、レタス、キャベツ、小松菜、白菜、ほうれん草など約四十品目。加工ではコンニャク、しらたき、漬物、ピクルスなどを扱っている。このうち一割が有機農産物だ。作物は市場を通さず、直接、スーパーや生協、通信販売会社、外食店などに販売をしている。
 地域で継続できる農業を目指している。そのポイントは、〆能蕕ら人件費を考えた農産物の価格設定を行う年間作付け計画を立て、販売先と契約をして値段を決定するA蠎蠅陵徊召砲修辰榛酳を栽培ーする、の三つ。
「農業で生活ができ、家庭を築く。家庭が安定してこそ後継者ができる。これまでの農業は、作物の値段も経営も考えないで、市場に委ねるだけだった。これからの農業は経営の視点が必要。それと、お客さんに向けた、相手が必要とする農業でなければならない」と、代表の澤浦さん。

 澤浦さんの家は、かつては農協に出荷していた。しかし、価格の決定権がない、暴落すれば赤字になるなど、経営が不安定で、将来に展望が持てなかった。そんな時、加工品を直接販売することで、安定的に経営している農家があることを知り、流通先や販売先を見に行った。その後、自らコンニャク加工を行い、営業して販路を開拓。販売先の要望を入れて有機栽培の原料にすることで安心安全な食べ物を供給し始めた。取引先から有機野菜の注文があったことから、地域の若手の仲間と四名と連携して、野菜販売も始めた。こうして現在の規模まで広がっていった。
 現在は、若い人たちを受け入れ、研修させて独立まで世話するという若手育成事業にも乗り出した。すでに、神奈川県藤沢出身の山田広治さん(三五)が、青森で独立した。七ヘクタールで、レタスやハクサイ、ブロッコリーを栽培している。販売先は野菜くらぶが受け持つ。独立の自己資金はわずか百五十万円。さらに百五十万円を会社が出資する仕組みだ。これまで独立した人は二人。再来年までにさらに三名が独立するという。地域の農業再生に一役買っている。(平成19年11月25日)